個人確定申告-【注意!】奥さんのその青色専従者給与、高すぎませんか?

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以前、税務調査で“奥さんの専従者給与が高すぎる”と指摘を受けた際。

「何言ってるんだ!私の事業がここまで順調に来れたのは、すべて妻のおかげだ!

妻がいなければ今の事業の売上なんて無いのだから、もっと払ってもいいくらいだ!」

と、涙が出るような感動的な抗弁をなさった事業主様がおられたそうです。

…これが通ったかどうかはともかく。いったいいくらなら「高い」ことになるのでしょうか。

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 税理士の奥さんへの専従者給与が高すぎる!として争った事例

他でもない、税理士自身の奥さんの給与が高すぎるとして争われた事例があります。

(国税不服審判所 平成25年5月29日裁決)

税理士と奥さん、従業員6名の税理士事務所。

そこで副所長として業務を手伝ってもらっていた奥さんに。

平成20年分1160万円、平成21年分・平成22年分各1000万円を。

専従者給与として支給していました。

これが税務調査の際、「高すぎる!」として否認されたわけです。

税務署の主張:「他の従業員と比べたら突出して高いじゃないですか!」

税務署が「高すぎる」という根拠として持ち出したのはこれでした。

・①給与比準方式

・②類似同業専従者給与比準方式

審判所の文面によりますと、

原処分採用給与比準方式
 妻Mらがいずれも税理士資格を有していないことからすると… 給与比準方式の適用に当たっては、本件各青色専従者給与額と本件各使用人のうち年間を通じて請求人の事業に従事している使用人の本件各年の給与の平均額とを比較するのが相当である

類似同業専従者給与比準方式
 類似同業者の抽出に当たり、本件各年において…①L税務署及びその近隣署管内で税理士資格のみで税理士業を営む個人事業者であること、②青色申告者で所得税青色申告決算書を提出している者であること、③税理士業に係る年間の売上金額(税込み)が請求人の本件各年分の売上金額(税込み)の2分の1以上、2倍以下であること、④会計法人あるいは税理士法人を有していないこと、⑤税理士資格を有していない配偶者のみを青色事業専従者としていること、⑥青色事業専従者が、年間を通じて、類似同業者の事業におおむね8時30分から18時頃までの間、常時勤務していること、⑦本件各年を通じて青色事業専従者給与を支給していることなどの条件を付し、これによって抽出した類似同業青色専従者を本件比較青色専従者として選定した。

要は、

①その税理士事務所で常勤で勤務しているスタッフ全員の給与の平均額

②似たような税理士事務所の専従者給与の平均額

と比べて、明らかに1000万円は高いでしょう!

高い部分は専従者給与とは認められませんから経費になりません!

と指摘したわけです。

税理士の主張:「勤務30年のベテラン副所長の年収が1000万で何が悪い!」

この指摘を受けた税理士は真っ向から反論しました。

審判所の公開されている文面によりますと、

 妻Mは税務及び会計業務に30年以上従事しているベテラン職員であると同時に、本件事務所の副所長として、本件各使用人を管理する立場にあるとともに、本件事務所の財務管理の責任者でもあるなど、請求人の事業経営に深く関与しているから、妻Mの労務の性質は本件各使用人のそれと比較して大きな差異がある。
 また、労務の提供の程度が、事業に従事した時間数であるとすると、妻Mらが使用する各専用パソコンのログ記録(オペレーティング・システムの起動時刻及び停止時刻の記録。以下同じ。)から妻Mの従事した時間数を本件各使用人と比較しても、妻Mの労務の提供の程度は本件各使用人のそれと比較して大きな差異がある。

実はこの奥さん、税務・会計畑30年超のベテランさんだったようで。

よくある、名目だけ仕事をしていることになっている専従者ではなく。

バリバリ仕事をなさっている副所長さんだったようです。

この税理士さん、出勤簿も奥さんのパソコンの使用記録も引っ張り出して。

奥さんがいかに他のスタッフよりも長時間労働していたかを力説されたようです。

実際、このあとの裁決文を見てみますと、審判所も。

奥さんが他のスタッフの約1.5倍近い長時間労働をしていたことは認めています。

しかも。

・事務所の副所長としてスタッフを管理している。

・事務所の財務管理の責任者でもある。

・事業経営に深く関与している。

名実ともにはっきり副所長です!

たしかに他の平社員の倍かもしれないが、給与としてそれくらいは当然です!

と主張なさいました。

審判所の判断:それでも高すぎる!

私の個人的な意見としては。

管理職でしかも平社員スタッフの1.5倍働いている方の給料が約2倍。

そこまでおかしな話でもないような気がするのですが。

しかし審判所の判断は。文面によりますと、

別表10のとおり、妻Mの専用パソコンの稼働時間は、本件各使用人の専用パソコンの稼働時間と比べて最も長く、本件ログ記録の期間において、妻Mの専用パソコンの合計稼働時間(4,858.79時間)は、当該期間を通じて勤務しているNの専用パソコンの合計稼働時間(3,445.13時間)の1.41倍(小数点以下3位を四捨五入した後の数値)であったこと、Pが勤務していた期間において、妻Mの専用パソコンの合計稼働時間(4,338.08時間)は、本件各使用人の中で稼働時間が最も長いPの専用パソコンの合計稼働時間(3,190.59時間)の1.36倍(小数点以下3位を四捨五入した後の数値)であったことが認められる。
…請求人は、上記2の(1)の「請求人」欄のイのとおり、妻Mは税務及び会計業務に30年以上従事しているベテラン職員であると同時に、本件事務所の副所長として、本件各使用人を管理する立場にあるとともに、本件事務所の財務管理の責任者でもあるなど、請求人の事業経営に深く関与しているから、妻Mの労務の性質は本件各使用人のそれと比較して大きな差異がある旨主張する。
 しかしながら、上記(イ)のAのとおり、資格を有する税理士が営む税理士業において、資格のない者が提供する労務は、税理士が資格に基づき行う業務の補助業務又は税理士業務に付随する業務であり、いずれにせよ資格のない者が提供する各労務の性質は税理士業務の補助であるとみるべきところ、上記(イ)のAのとおり、妻Mの労務の性質はいずれも税理士業務の補助であると認められ、また、請求人がその主張の根拠とする妻Mの従事年数及び副所長の肩書は、資格を有する税理士が営む税理士業において資格のない者が提供する労務の性質を左右するものではないから、これらを根拠として妻Mの労務の性質を本件各使用人のそれと比較して大きな差異がある旨の主張は相当ではない。

要約しますと、

「労働時間が長かったことはわかります。

でも、業務内容は他のスタッフと大して変わりません。ですので、

“他のスタッフの年収×奥さんの労働時間倍率”くらいが適正でしょう。

それを超える分は高すぎるのでやはり否認です。」

という判断でした。

ちなみに、奥さんを除くと一番古株の勤続17年のスタッフPさん。

彼の年収約450万円に奥さんの労働時間の倍率をかけた600万円強。

これが適正な給与とされ、それを超える約400万円が否認されることになりました。

これだけの資料が整っていながらそれでもこの判断です。

なかなか厳しいですね。

奥さんの給与金額の根拠を用意しましょう。

この事例からもわかるように。

税務署側は、

・比較できそうな他のスタッフの給与

・比較できそうな同業者の給与

このあたりを根拠に「高い!」と指摘します。

まず、可能ならこの線をあまり超えないように。

専従者給与を設定するのがリスクの低い方法ですが。

もし超える場合には、なぜ超えているのか。

客観的な資料で説明できるように、資料をそろえておきましょう。

その際、「奥さんだから・副所長だから・特別だから・他のスタッフより高い」

この論法は、現場レベルではともかく。

争いになった場合には負けるリスクが高いようです。

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