一瞬で退職金貯蓄用生命保険の損得を見破る方法

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「法人成りしたら、早速知り合いの保険代理店が提案書持って来たんだけど…」

節税になるし、退職金用の貯蓄になります、って言われたけど…」

社長様から良く聞く言葉です。

今日の記事では「退職金貯蓄目的で生命保険を活用する」場合。

本当に得になるのかどうかを簡単に見極める方法を考えます。

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節税分まで貯められる?

法人の売上から経費と生活に必要な役員報酬を引いたところで。

仮に毎年500万円。

利益として貯めることができるとします。

でも10年で5000万円は貯まりません。

中小法人の年800万円までの税率、約25%が法人税等として納税です。

ですので10年後に貯まるのは3750万円です。

保険の営業マンはこの「税金」の部分に訴えます。

保険で貯めれば「税金」が減りますからその分まで貯まりますよ!

という論法ですね。

では実際これでどれくらい差がつくのか計算してみましょう。

先程の例の毎年500万円貯められる社長さんが。

20年間貯蓄するモデルケースで考えます。

保険の返戻率は、とある企業さんでお見かけした“実際の提案書の数字”です。

(均等割は金額が小さいことと、どのケースも同じなので無視します。)

①利率0.03%の定期積立預金で貯蓄(比較用)

毎年の積立可能額

500万円×法人税等25%=125万円

500万円-125万円=375万円

20年後受け取れる金額

20年複利計算→7523.7万円(元本7500万円+利息)

累計で1億円の利益が出たわけですが。

最終的に手元に残るのは7500万円とわずかな利息です。

②半額損金、返戻率MAX87.1%の長期平準定期保険で貯蓄

毎年の積立可能額

(500万円-積立額428万円×1/2)×法人税等25%=72万円 (72万円+428万円=500万円)

積立累計額
428万円×20年=8560万円

解約時返戻額
8560万円×87.1%=7455.7万円

掛け金の半額が損金になり、その分法人税等が圧縮できますので。

定期積立だと1年に375万円しか貯められなかったところ。

53万円多い428万円を貯めることが出来ます。

保険の営業マンさんが強調するのはここですよね。

でも、解約時の返戻額を良く見て下さい。

7455.7万円と、定期積立した場合の元本7500万円すら下回っています!

掛けた金額が解約時に全額返ってくるわけではありませんので。

このように冷静に計算してみると。

貯蓄性の面ではタンス預金以下ということがわかります。

③全額損金、返戻率MAX70.3%の無配当重大疾病保険で貯蓄

毎年の積立可能額 500万円 (全額損金の為法人税等は0。)

積立累計額 1億円

解約時返戻額

1憶円×70.3%=7030万円

上の保険と並べて、

「少し返戻率は下がりますが、こちらは全額損金で行けますよ!

等のうたい文句で勧められることのあるこちらの保険。

なにしろ全額損金になりますから。

利益の出る分全部保険として貯めることが出来ます。

毎年の法人税、相当下がります。

「いやー、節税って気持ちがいいですねー!」と社長も提案した営業マンも笑顔です。

でも、解約時の返戻額を良く見て下さい。

先程よりもさらに低く、500万円近く減ってしまいました!

タンス預金どころの騒ぎではありません。

損得を簡単に暗算する方法

上の計算を見て、「うわっ、ややこしい…」と思われたでしょうか。

実はこれ、損得を簡単に暗算する方法があります。

まず、定期預金と全額損金保険を見比べて下さい。

要は最終的に受け取れる金額は、

定期預金…積立金-法人税率分

損金保険…積立金-解約返戻率分

目減りする、ということですよね。

ですから。全額損金の保険の場合。

「(1-法人税率) と 解約返戻率」

を比べさえすれば、どちらが有利か暗算できるわけです。

先程の例ですと、

1-法人税率=75%

解約返戻率=70.3% ですから。

定期預金で税金を引かれる目減りの率より、

保険で元本割れする解約の目減りの率の方が高いわけです。

一瞬で暗算できますね。

では応用で、半額損金の場合。

積立金×法人税率×半分 節税効果があるわけですよね。

ということは先程のケースですと25%の税率の半分。

積立金の12.5%だけが節税によるプラスの効果ということになります。

12.5%しか効果のない積立金が解約時12.5%以上目減りしたらどうなるでしょうか。

お気付きの通り、半額損金の保険であれば。

「(1-法人税率×1/2) と 解約返戻率」

を比べればどちらが有利か暗算できるわけですね。

先程の例ですと、

1-法人税率×1/2=87.5%

解約返戻率   =87.1% ですから。

わずかですが定期預金の方が有利だったわけです。

結論:実効税率区分による有利判定

このように考えてみますと。

①日常的に年800万円以上の利益を出し続けておられる会社の社長様

(実効税率約35%)

全額損金保険→返戻率65%以上ならOK、以下なら検討外

半額損金保険→返戻率83%以上ならOK、以下なら検討外

②毎年黒字ではあるけれど、年800万円ほどではない会社の社長様

(実効税率約25%)

全額損金保険→返戻率75%以上ならOK、以下なら検討外

半額損金保険→返戻率88%以上ならOK、以下なら検討外

③そもそも赤字と黒字をいったりきたりの会社の社長様

(実効税率0%)

返戻率100%以上でなければ検討外

ということになります。

もちろん、この記事では。

「退職金貯蓄目的で生命保険を活用する」場合の計算のみしています。

社長様の死亡時に備えて、借入の返済や事業の整理・継続の為に。

保障を法人で用意するという目的などが別にあれば

掛け捨てでその保障を用意した場合の総額との比較、等が検討されることでしょう。

ですが私の観察では。

多くの方が「節税」というキーワードだけに踊らされ。

「退職金になるし」という理由で。

目減りするとは気付かずに保険を契約させられているケースが多いように感じます。

非常に簡単な暗算です。

保険の提案を受けた際にはご参考になさってください。

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