減価償却する必要があるか ①消耗品と固定資産の判定

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申告をご自分でされている方が、「わかったようでよくわからない」

と言われることの多い減価償却。

「5年間使うものを100万円で買ったんだから。

毎年20万円ずつ償却して経費にしていく…?」

と、頭ではなんとなく納得しても。

実際問題「お金が出て行ってるのに経費にならないなんて…

お金は無いのに税金払わなきゃいけなくなるじゃない!

と納税のタイミングでは納得できなくなったりします。

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この考えはある意味正しくて。

減価償却せずに、買ったときにその時点で「消耗品費」なり「修繕費」にできたら。

早く経費に落ちるわけです。

赤字でないならそうできた方が良いに決まっています。

当然、誰でも早く経費にしたいですから、国はこと細かく。

「こういう場合はその場で経費にしてはだめですよ。

資産に計上して減価償却してください。」とか、

「でもあまり厳しくしてみんなが設備投資しなくなっても困るから…

これぐらいは特例でいいですよ。」とか、決めています。

逆に言えば、決まりさえ知っていれば可能な範囲で早く経費に落とせるわけです。

ですので、ここで確認してみたいと思います。

まずは「消耗品」からです。

1.取得価額が10万円未満

事務所の給湯室で使うポットや掃除機、多分4.5年は使いますよね。

でもこんなものまで償却台帳に乗せてたらキリがありません。

そこで、国は「10万円未満又は使用可能期間が1年未満」のもの。

これは減価償却せず購入時に経費にしてしまって良いことにしています。

国税庁 少額の減価償却資産になるかどうかの判定

どんなに長くもつものでも。

とりあえず10万円未満なら迷わなくて良いということですね。

ただ、ここで引っかかるのが「どこまでで10万円の判定をするか」ということです。

例えば応接セット。

「イスは1脚が3万円だけど、4脚+テーブル5万円で計17万円です」という場合。

イスやテーブルそれぞれは10万円未満ですが、セットでは10万円を超えます。

この場合、「通常1単位として取引されるその単位ごとに判定」となります。

色や材質がコーディネートされている応接セットなら明らかに1式で1単位ですから。

この場合はまとめた金額で判定ということになりますね。

では、バラバラで買って。

時々模様替えしつつ別の部屋でも使っているようなイスやテーブルは…?

一昔前はパソコンとディスプレイはだいたいセットでした。

でも最近では別々に買うことも多いですよね…ソフトは…?

「通常」も時代や環境で、多少変わるような気がします。

2.取得価額が20万円未満

1.の判定で10万円を超える場合。

原則として耐用年数表に基づいて減価償却することになります。

が、やはり償却台帳に載せて一つ一つ計算をかける手間に配慮して。

20万円未満の場合には簡便的に3年間で償却する「一括償却」も認められています。

ポイントは、一括して償却額や残存価額を管理し。

個別管理は行わない前提なので、償却資産税はかからないということです。

3.取得価額が30万円未満(青色申告の中小企業者に限る)

1.の判定で10万円を超えても、取得価額が30万円未満の場合。

買ったときに全額経費に落として良いですよ、という特例があります。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

(よく「即時償却」などと呼ばれています。)

「えっ、だったら1.の判定を最初から30万円にすればいいんじゃないか?」

「2.は3年かかるんだったらこっちの方が有利じゃない?2.を選ぶ人いるの?」

と思われた方もいらっしゃると思います。

実はこの3.は「租税特別措置法」といいまして。

国が景気対策などの為に期間を区切って定めている特例です。

冒頭で書いたように、「お金は払ったのに経費にならない」のはつらいです。

皆が設備投資をしなくなると困るので、期間を決めて優遇しているわけです。

しかも、無制限ではなくこの規定で償却できるのは年間300万円までと決まっています。

25万円の備品なら12個までですね。

また、こちらは買ったその場で経費にはなりますが。

償却台帳には個別に載せるため、償却資産税はかかります

ですので、10万未満の備品等については何も悩む必要はないですが。

20万円未満の場合には。

「償却資産税はかからないが償却に3年かかる一括償却」

「償却資産税の対象になるがすぐに経費に落とせる即時償却」を選択することになります。

ちなみに、償却資産税の税率は「残存価格×1.4%」です。

課税対象額が150万円未満であればかかりません。

固定資産台帳の残存価格の合計が150万未満。

しかも今後も超える見込みがないなら。即時償却の方が有利ですね。

4.通常の減価償却

1-3の特例が使えなければ、通常の減価償却をすることになります。

ところで、「この備品、何年使えるのか」ってすごく難しい問題だと思われませんか。

人によって違いますよね。

皆が思い思いに年数を決めると収拾がつかないので。

多少乱暴なようですが、国が一律に決めています。

国税庁 耐用年数表

例えばパソコンであれば、「器具・備品」の中に

・電子計算機 パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)…4年

・その他のもの…5年

とありますから、サーバー用なら5年、それ以外なら4年で償却することになります。

ちょっと長い気がします。

5.特殊な場合 ①中古の減価償却資産

では例えば耐用年数6年の中古車(普通車)を3年落ちで買った場合。

何年で償却することになるでしょうか。

国税庁 中古資産の耐用年数

この式によると、

6年(法定耐用年数)-3年(経過した年数)+3年×20%=3.6年→3年(端数切捨て)

で3年となります。

最後の20%足しているところが気になりますね。

「3年落ちにしてはモノがいいから買うんでしょう?」

ということでその分を加算しているかもしれません。

200万円の予算で車を買う場合、新車だとプリウスは少し難しく、アクアくらいでしょうか。

一方中古車ですと…今カーセンサーで検索かけてみました。

BMWの3シリーズの5年落ちクラスが続々ヒットしました。

全て経費に落ちるのに6年かかる新車のアクアか。

2年で経費に落ちるBMW3シリーズの5年落ちか…

私のクライアントさんの中にも、最近この考え方で中古車を選ばれた方がおられます。

6.特殊な場合② 中古の減価償却資産を改造した場合

では倉庫を建てる場合。

「新築300万で建てたら木造15年で償却になってしまうよね。

中古のボロボロの築50年の倉庫を1万円で買って、299万円で改装すれば!

15年-15年+15年×20%=3年で償却できる!」

と、ここまで考える人はなかなかいないかもしれません。

でもいないとも限らないので、先程の国税庁のページに

「事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額(中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいいます。)の50%に相当する金額を超える場合には、耐用年数の見積りをすることはできず、法定耐用年数を適用することになります。」

と予防線が張ってあります。しっかりしていますね。

先程の例なら、150万円の倉庫を買って150万円で改装。

ならなんとか早く償却できるようです。

ただ、「再取得価額」がいくらであるかがはっきりしない場合。

(はっきりしないことが多いと思うのですが。)

トラブルのもとになりそうです。

7.特殊な場合 ③建物・内装工事など

飲食店や美容室など、店舗を構える業種ですと。

開業の最初にかなりまとまった金額の内装を行うことが一般的です。

この耐用年数、何年くらいでしょうか。

国税庁 他人の建物に対する造作の耐用年数

「造作をした建物の耐用年数、その造作の種類、用途、

使用材質等を勘案して合理的に見積もる」

…とサラっと書いてありますが。

造作をした建物の耐用年数!!

鉄筋コンクリートビルのテナントだったらほとんど木造内装でも34年ですよ!

今どき飲食店で30年続くところがどれくらいあるでしょうか。

これではたまらないので、実務上は工事の明細を入手して。

工事の内容別に細かく耐用年数を分けて償却費を計算し、加重平均的に年数を見積もります。

また、建物付属設備に該当するものについてはもう少し短い年数が使えます。

これも工事明細から抜き出して少しでも短い年数で償却できるようにします。

初年度で適当な処理をしてしまうと、そのあと下手をすれば何十年にもわたって。

本来経費に落とせたものが落とせなくなることがあります。

開業初年度は、特に金額の大きな節税ポイントが多いです。

皆さん、開業初年度のバタバタした時期が過ぎてから相談に来られます。

でも、手遅れなことも多々あります。

是非一度、早めに専門家に相談なさってみてください。

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