「税理士のせいだ!」「社長のせいだ!」裁判で醜い争いをしないために大切なこと

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残念なことですが、税理士がクライアント様から損害賠償請求をされることがあります。

裁判で訴えられることもあります。

税理士も人間ですから、ミスはあります。

でも、ミスだけなら。話し合ったり、補償したりしてすみますから。

裁判までは起きません。はるかにドロドロしたケースで裁判は起きます。


裁判, I’m not suck la / NWharry

脱税申告をしたのは社長の指示か否かで争った裁判

(東京地裁平成16年9月17日判決)

造園業のとある社長さん。事の発端は。

その決算期とにかく儲かって4000万円近い利益が出たことのようです。

当時はまだ法人税率の高いころで、利益の半分は税金という時代でした。

税理士さんが、今期の納税額が2000万近くなる、という見込みをお伝えしたところ。

「誰が払うか!500万までしか払わん!」

「あんたの口座に500万振り込むからそれで何とかしろ!」

と社長は言って500万振り込んできたそうです。

この税理士さん。なんと社長の要求通りに。

3500万円の架空の外注費を計上し、納税額を200万円台にして。

過少申告し、その社長の振り込んできた500万円の中から納付しました。

…そして、2年後、その一部始終が税務調査で発覚しました。

「税理士が勝手にやった!」

この社長さん。なんと判決文によると。

原告に無断で架空の経費を計上した申告を行ったとして

…損害賠償請求権に基づき1023万円

「原告が納税用の資金として振り込んだ金額のうち残額の207万円

その他合わせて約2231万円の損害賠償請求を。

税理士に対して起こして裁判に訴えました!

社長に無断で税理士が過少申告したせいで大迷惑だ!2200万賠償しろ!

という主張をされたわけです。

凄い話ですね…

判決:「税理士の行為は職業倫理上許されないが、今回の裁判に関しては社長が悪い」

今回の裁判。

決め手になったのは、社長が振り込んでいた500万円でした。

判決文を要約しますと、

「普通、税金の納付は会社が会社の口座からしますよね。

もし、税理士が勝手に過少申告したのなら。そもそも納税額は200万円台なのに。

その500万の振込はいったい何なのですか。

「しかも、納税しても200万円以上残ってるのに、その後2年間返せとも言ってないんでしょう。

500万で納税額を納めてもらった報酬として渡したからとしか説明できないです。」

「税理士が勝手にやったというには、無理がありすぎますね。

社長の指示でしたことでしょう。ですので、税理士が損害賠償する必要はありません。」

…というような意味のことが書いてあります。

結果、訴えた社長の全面敗訴となりました。

判決文の一部が笑うに笑えないのですが。

「被告(税理士)の義務違反は職業上の倫理に反しかつ公益をそこなうものとして…

制裁の対象とはなるものの…原告に対する債務不履行とは(ならない)

と書かれています。

要は、「公正な立場で申告・納税を指導するべき立場でありながら。

社長の言いなりになって過少申告をしたこの税理士も、確かにどうしようもないワルだ。

だが、社長に対して損害賠償請求をする必要に限っては、その必要はない。」

という判決文です。

…何から何までひどい裁判ですね。

しかも、もしこの500万の振込が無かったら。

税理士、負けていたかもしれません。

「言いなりになってくれる税理士」とは、末長いお付き合いはできません。

今回の裁判からわかることです。

もともと法に従って納税する気のない社長さん。

職業倫理の欠けている税理士さん。

「お主もワルよのう」などと笑い合いながら、普段は仲良くやれるかもしれません。

ですが、一度ことが起きれば。

ドロドロの罪のなすり合いをしなければならなくなります。

そもそも、普段から嘘をつくこと。人をだますこと。

それを何とも思っていない人が。

いざという時に自分だけはかばってくれるはずはありません。

何でも言うことを聞く、一見「ものわかりのいい」税理士ではなく。

法の範囲内で節税を一緒に考えてくれても。

「駄目なものにははっきりダメと言ってくれる」税理士と。

お付き合いされることをお勧めします。

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