最近の個人事業確定申告事情【自宅兼事務所は経費にならない!?】

久々にかなり反響の大きい判決でした。

「自宅兼事務所はアウトなの?!(経費にならないの?!)」

「自営業者に悲報!」

などとネット上でも話題になっていましたね。

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しばらく前から私もかなり気になっていたのですが。

確定申告の繁忙期で、まとめるのが遅くなりました。

遅いニュースで申し訳ありません。

今さらながらですが記事にしてみます。

 

自宅兼事務所の家賃が否認された保険代理店

(東京地裁判決平成25年10月17日)

事の発端は。

自宅で保険代理店業をなさっていた白色申告の自営業者さん。

2階建て3LDK、月額17万円の家賃のご自宅を。

多くの自営業者さんと同様、事業割合で案分して。

経費として申告していました。

 

しかしこの「事業割合」

どうやら床面積の比で案分していたようなのですが。

・1階の全てを占めるLDKは会議室名目で全部事業用!

・2階の3部屋のうち1部屋も完全に事業用!

として計算していたようなのです。

 

この方の言い分が真実であれば。

この家の家事用部分は2階の3部屋のうち2部屋のみ。

このスペースで寝起き、食事、炊事、家事。

全てまかなっていたことになります…

 

「それはあり得ないでしょう!」と指摘した税務署。

「納得いかん!」と反論した納税者との間で裁判になりました。

 

自宅兼事務所が経費になる条件~根拠条文の確認

ここで一度。

自宅兼事務所が経費になる条件を条文からきちんと確認しておきましょう。

 

まず、所得税法で

・「家事関連費(生活費)」は経費にならない

という大原則がはっきり書かれています。

 

所得税法第45条第1項第1号

居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、

その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は

雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

一  家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの

 

その上で、所得税法施行令の中で。

例外的にこの部分については経費でも良いよ、ということが書かれています。

 

所得税法施行令第96条

法第四十五条第一項第一号 (必要経費とされない家事関連費)に規定する

政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。

一  家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、

山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、

その必要である部分を明らかに区分することができる場合における

当該部分に相当する経費

二  前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の

承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、

取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき

業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

 

「経費にならない部分は次に掲げる経費以外の経費とする」という。

若干回りくどい書き方なので読みにくいですね。

要は、「次に書かれている経費は経費で良いですよ」ということです。

 

一で書かれているのが白色申告者。

①その経費の主たる部分が事業用であり、

②しかもその部分が明らかに区分できるなら。

その部分は所得計算上、経費にしても良いですよ。と書かれています。

 

二が青色申告者ですね。

・業務の遂行上直接必要であつたことが明らかな部分

については経費にしてよいですよ。と書かれています。

 

白色の方が、条件を厳しいニュアンスで書かれているのに気付かれるでしょうか。

青色なら、全体の1割しか仕事で使っていない費用でも。

業務遂行上必要とはっきり言えればその1割は経費OKなわけですね。

 

しかし白色申告ですと。

「その費用の大部分が事業用、しかもその部分は明確に分かれている」

ケースでなければ経費にならないと書いてあるわけです。

 

この「大部分」というのがどれくらいか。

所得税法基本通達にさらに細かく書かれています。

 

所得税法基本通達45条-2

令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は

雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち

当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。

ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、

その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、

当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

 

基本的には50%超、半分以上業務に使っているかどうか。

で判断すると書いてはありますが。

50%以下であっても必要な部分が明らかに区分できるなら経費で良いとも書かれています。

要はこのいわゆる50%ルールは。

「その費用のうち業務使用部分を特定できない場合のみ」適用です。

 

まとめてみますと。

家事関連費が必要経費と認められるためには。

 

青色申告:

・その費用が業務の遂行上直接必要である。

・その必要であった部分の金額が計算できる。

 

白色申告:

・その費用の主たる部分が事業用である。(必ずしも半分以上でなくてもOK)

・その部分が明らかに区分できる。

 

この条件が必要ということです。

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裁判での判断の分かれ目

さて。

長くなりましたが冒頭の裁判。

判決によりますと、この納税者が負けた理由として

「住宅の一部を居住用と事業用に明確に"区分することはできない"

ことが挙げられています。

 

では、今後白色申告者は自宅の一部を経費にすることができないのでしょうか?

私見ですが、決してそんなことは無いと思います。

 

この納税者。

経費にしていた部分の中でもかなりの面積を占めるLDKを。

まるまる経費に放り込んでいました。

家に1つしかないキッチンが。

居住用にも事業用にも分けられないのは当たり前です。

リビングにしたってそうですよね。

 

この納税者が2階の3部屋のうち1部屋のみ。

OFFICEの表札をドアに貼って仕事部屋として申告していたなら。

おそらくもめることは無かったでしょう。

ここは区分できますので。

 

「経費にならないかもしれない!」と必要以上に心配する必要は無いと思います。

でも、せっかくですのでこの機会に。

・事業用と家事用の按分の割合は適正か。

・そのように分けている理由をきちんと説明できるか。

・その説明には無理が無いか。

一度見直してみても良いかもしれません。

 

 

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