前回の記事で、株式や債券を「今年中に売った方が良い」
ケースについて取り上げました。
このように売却益・損を確定させるために株等を売り買いする場合。
特定口座には細かい落とし穴があります。
特定口座:同日付の売り買いは計算方法に注意!
モデルケースで考えてみましょう。
今年中に売れば非課税だけど来年からは課税されてしまう株があるとします。
ですが、まだ値上がりするように思いますし、株主優待もありますので。
まだ保有していたいとします。
以前に100株100万円で購入しており、現在は500万円になっています。
これを今年の12月に駆け込みで。
①12月20日に500万円で売却して、翌21日に500万円で買い戻したケース。
②12月20日に500万円で一旦売却してすぐに同日500万円で買い戻したケース。
何か違いがあるでしょうか。
同じことをしているように見えますよね。
でも、実は結果は全く違ってきます。
①のケース…売却益400万円、期末の株式取得価格500万円
実は、証券会社の特定口座は。
売却損益を取引の都度ではなく、一日ごとに計算しているそうです。
①のケースの場合。
12月20日時点で、100万円で買っていた100株を500万円で売ったわけです。
当然、売却益は400万円です。
12月21日では、500万円で新たに100株を買ったわけです。
当然、この株式の100株取得価格は500万円です。
では、②のケースはどうでしょうか。
②のケース…売却益200万円、期末の株式取得価格300万円(?!)
②のケースの場合。
12月20日終了時点で証券会社は損益を計算します。
そして12月20日時点で証券会社には株式の購入について2つのデータがあります。
1つは、以前に100株100万円でこの株を購入した時のデータ。
もう1つは、今日、100株500万円でこの株を購入したデータです。
証券会社はこれらを基に。移動平均法で。
この株式の平均購入価格は1株3万円、という数字を先にはじいてしまいます。
そして、証券会社には同日付で100株500万円で株を売却したデータがありますので。
損益を計算しなければなりません。
この際証券会社は。
「1株平均3万円で購入している株を、100株500万円で売った」として計算してしまいます。
ですので、売却益は200万円。
そして、期末に持っている株は1株3万円で買っていますので300万円となってしまいます。
結論:損益確定のための売却・買い戻しは1日以上空けた方が無難
②のケースでは自分の感覚と計算結果がずれているように感じられたのではないでしょうか。
「売って、買い戻して…」としているのに。
同日であれば計算上「買い」が先に入ってしまうイメージですよね。
「とりあえず売却益が非課税の今年中に一旦確定させよう!」
と意気込んで手続きして。
良かった~間に合った~、とほっとしていたら。
年明けに送られてきた特定口座年間取引報告書を見てびっくり!
なんてことになりかねませんね。
税務上のこのような目的で売却・買戻しをする場合には。
面倒でも、同日付にせず、一日おいて手続した方が良さそうです。
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