テレビ朝日の45歳の社員さん。
番組制作費約1億4000万円を私的に流用したとして、今月19日懲戒解雇されたそうです。
興味深いのは発覚した理由。
8月に東京国税局の税務調査で指摘されて、テレビ朝日が調査していたとのことです。
税務調査がなかったら、まだしばらく発覚しなかったのでしょうか。
1億4000万円!なかなかすごい額ですよね。
中小企業ではこの額を着服されることはないかもしれませんが。
でも、税務調査を意識すると内部統制が向上するのは、どの企業も同じです。
「税務署に説明できない=社長にもわからない」である場合があります。
個人事業で0から開業された当初。
現金を触るのは経営者様とご家族だけだったかもしれません。
でも、軌道に乗るにつれ、他人を雇うようになります。
営業担当者が、集金をすることが出てきます。
現場担当者が、経費の支払いをすることが出てきます。
店長が、経理スタッフが、会計を扱うようなります。
現金を触るスタッフの人数が、だんだんと増えていきます。
税理士が関与しますと、やはり税務調査を意識します。
税務署から「この入金は何ですか」「この出金の手続きはどうなってますか」。
聞かれても大丈夫なように。
売上が立った時。経費が発生した時。
だれがお金を触るとしても。
お金を動かす際に作成する書類や証拠書類の保管をルールづけしていきます。
でも、税理士が関与していなかったり。
あるいは費用を節約するあまり完全記帳代行のみで依頼していたりする場合。
このあたりが全く整備されないまま、規模だけ先に大きくなることがあります。
このような会社から依頼を受けますと。
入金の内容も、出金の内容も。
社長にいちいち全部聞かなければさっぱりわからなかったりします。
しかも、社長も覚えていなかったりします。
税務署にももちろん説明できませんが、それ以前に。
スタッフがどこで売上を抜いていようと。あるいは横領していようと。
おそらく気付きもしないでしょう。
税務調査対策で不正に気付くケース
きちんとした税理士が関与しますと。
まず毎月など一定の頻度で。
もちろん規模や報酬にもよりますが、基本的には。
・各取引について証票が整備されているか。
・担当者の印鑑は押印されているか。
・それぞれの証票と現金預金の異動額は一致しているか。
チェックします。
ここで、書類の改ざんや金額の不一致から。妙な資金移動に気付くことがあります。
また、決算の際。
各経費や取引先のうち、前期と比較して大きな金額の変動のあるところはないか。
原価率の増減は、社長からお伺いしていた経営状況を反映しているか。
大きなところで決算の数字を見直します。
ここで妙な変動がある科目については、税務署に説明するケースを想定して。
事前に理由を検証します。
ですがどうしても理由がわからない場合。
あるはずのもの(現金や在庫)が無い、ということに気付くことがあります。
お金を触る人が身内だけではなくなっている場合。
お金の流れを透明にすること、きちんと証拠を残すこと。
これは税務調査の為というよりもむしろ、社長様の為ではないかと思います。
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