ここ数年、法人できちんと利益を計上している「黒字法人」の割合は25%前後で推移しています。
4社に1社しか、利益が出ていないわけです。
黒字法人にしか調査を行わないとすると、7割以上の法人が調査を免れることになります。
実際のところどうなのでしょうか。福岡国税局の統計から確認してみます。
福岡国税局管内 1件平均追徴税額は200万円
福岡国税局管内(福岡、北九州、佐賀他)では。
平成22事務年度中5,614件の実地調査が行われたようです。
内、非違があった件数が3966件、割合にして70.06%です。
さて、この3966件で、申告漏れ所得金額は実に363億円。
1件当たり平均約900万円。
追徴税額が75億円ですので、1件当たり200万円弱となるようです。
赤字法人への調査
さて、このうち赤字法人に対する調査の件数です。
先程の統計の、1番下をご覧ください。
「無所得申告法人の実地調査の状況」という統計があります。
これが、無所得、つまり赤字法人に対する調査です。
件数が2062件、全体の5614件から見ると約37%。
福岡での調査の3件に1件は赤字法人に入っている、ということですね。
そしてこの中に「有所得転換割合」という数値があります。
つまり
「赤字で申告していたのに。
調査の結果経費を次々と否認され黒字になった法人の割合」です。
こちらが12.4%。
つまり福岡国税局館内の赤字法人調査で。
約8件に1件は、調査があるとその場で法人税の追徴も発生するようです。
そして、注目したいのは「不正のあった件数」471件です。
これは単なる計算ミス等ではなく意図的に不正を行ったと認定されたケースです。
金額によっては、「青色申告の取り消し」をされてしまう場合があります。
そうなると、赤字法人につきものの、
・赤字を出して繰り越して、
・使い切らない程度に黒字を出して消化して
・また赤字を出して
というサイクルを繰り返していた場合、欠損が全て切捨てにされてしまいます。
(白色申告では基本的に赤字を繰り越せません。)
その期では追徴が出なかったとしても、その後に大きな影響が出ます。
赤字でも、
・上記のように法人税が課税、または欠損が少なくなるケース。
・役員賞与認定により社長の源泉所得税が追徴となるケース。
・消費税の仕入税額控除について否認され消費税が追徴となるケース。
等のリスクは十分にあります。
赤字だからと言って油断せず。
いつ調査に入られても良い経理体制を作ることをお勧めします。
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