前回の記事で見たように、法人生命保険の中には。
【一見節税になるように見えて、最終的には手元に残るお金が減ってしまうもの】もあります。
しかも掛金が大きいものが多いです。
返戻率の数%の違いが、数十万、数百万の違いを生んでしまうこともあります。
損をしないために大切なことは何でしょうか。
損をしない法人保険の選び方 ①複数の保険会社を扱える代理店を選ぶ
私も税理士をしていますと、保険会社さんから「代理店をしませんか」とお誘いがかかります。
代理店手数料が欲しくないわけではないのですが、やはり私はお断りしています。
理由は、「その保険会社の商品しか勧めにくくなるから」です。
実は保険会社によって保険商品の種類や返戻率は本当にまちまちです。
私は、クライアント様に法人生命保険の活用を提案する際。
必ず提携している保険代理店さんから資料を取り寄せます。
この代理店さん、生命保険会社17社の保険商品を扱っています。
社長さんの年齢、引退の予定、投下する予算、付帯でつけたい保障…
条件を伝えると17社の商品を比較して良いものを探してくれます。
先日もある社長さんから
「知り合いの保険屋さんに『法人成りした』って伝えたら早速こんな保険持ってきたんだけど…」
と言って提案書を見せられました。
定番の長期平準定期。ピークの返戻率は80%前後でした。
同じ条件で私も提携の代理店さんになるべく返戻率の高い保険を探してもらいました。
1位は外資系A社で101%、2位は国内T社で98%でした。
解約ピークの時期が少し長めであったT社で契約しました。
予定では今後約2000万かけてから解約することになっています。
ですので、解約時の目減りを400万円から40万円に減らすことができそうです。
最初に提案を持ってこられた営業マンさんが無能なのではありません。
その営業マンさんの扱っている保険会社にはその保険しかなかったので。
それが最善の提案だったのです。
このように、法人生命保険の加入を検討するときには
・必ず複数社の商品を検討する、または
・複数社の商品を検討してくれる代理店に依頼する
ことで損をしない保険を選ぶことができます。
金額の大きい買い物です。
一度加入してしまうと、当初の返戻率が低くて解約できないことが多いです。
「節税」というキーワードに踊らされて衝動買いしないようにしたいものです。
損をしない法人保険の選び方 ②最新の税法に通じた税理士に相談する
実は保険に関係した税法はいわゆる「いたちごっこ」の状況です。
保険会社が現在の税法の抜け穴を活用できる節税商品を開発。
それが広まると国税が規制をかける、また保険会社が別のものを開発する…
これが繰り返されています。
現在の税法では規制されていなくても、今後規制される可能性が高いもの。
私はこれはお勧めしません。
たいていの場合、法人保険を利用した節税スキームは長期間にわたります。
また、一度始めてしまうと中途で解約することが難しくなります。
10年後に最終的な効果の出るスキームを組んでいて、9年間改正が無くても。
10年目で規制がかかれば無意味になってしまう可能性もあります。
最近さかんに販売されている商品の中にも、そのような目で見るとお勧めしにくいものがあります。
また、多くの場合、社長さんは保険の営業マンに会社の試算表や個人の財産の明細などは見せません。
ですから、
「いくらくらいまでの保険なら無理なくかけれるのか、資金繰りは大丈夫か」
「解約した際の利益、あるいは個人への移転をどうするのか、その際にどれくらいの税率がかかるのか」
保険の営業マンさんはわからない中で保険を提案しているわけです。
しかしここがわからなければ。
実際の節税効果なんて試算しようもありません。
是非、最新の税法に通じている、勉強していそうな税理士に相談されることをお勧めします。
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