やはり、判断に迷われる方が多いのでしょうか。
以前、「外注費と給与の境目」についての記事を書きました。
月に4000程アクセスのある人気記事になっています。
昨年、2013年の4月。塾の講師についてこれが争われた裁判がありました。
判決が出ていたので追記で記事にしてみます。
塾講師の報酬は「外注費か給与か」争われた裁判
(2013.04.26東京地裁判決)
以前の記事でも書いたように。
「外注費」なら源泉徴収の必要がなく、消費税の計算上消費税分は控除できます。
「給与」だと源泉徴収の必要があるうえ、消費税の計算上も控除ができません。
このように税務上支払主にとっては「外注費」が圧倒的に有利ですので。
実質的に雇用している状態でも。
建前上は「外注」「請負」としている業界が多いわけです。
塾の先生もこの扱いになっているところ、きっと多いですよね。
臨時や非常勤の方は特に。
教育機関や一般家庭から依頼を受けて講師を派遣していた、とある法人。
こちらも例にもれず。
講師に払う報酬を「給与ではなく外注」と処理していました。
これが税務調査で「給与でしょう!」と指摘されたわけです。
納得いかない法人が訴えたため、裁判にまでもつれこみました。
裁判での判断の分かれ目:講師は独立しているとは言えない
裁判では。
法人と講師の間で締結されていた。
「塾講師基本契約書」
「家庭教師基本契約書」
の内容が争点になりました。
判決によりますと、
・塾講師は法人から指示された指導回数・指導スケジュールで授業を行っている
・塾講師の報酬は、授業を行った時間数に単価をかけて計算されている
・発生した経費は、塾講師ではなく法人が負担している
ことが指摘された結果。
・塾講師は独立した事業者として自己の計算と危険で業務を行っているとは言えない
ので、この報酬は「外注費ではなく給与」と認定されました。
以前の記事でも書いたように。
雇用契約書があるか、請負契約書があるか、というだけの単純な話ではなくて。
・業務に対する対価なのか、労働に対する対価なのか
・自分の責任で仕事をしているのか、指示されて仕事をしているのか
・必要な経費はどちらが負担しているのか
などのポイントが勘案されるわけですね。
その結果、「独立した事業者として」業務を行っていると判断されるなら「外注」。
そうでない、「独立していない」と判断されるなら「給与」となってしまうわけです。
塾の講師に限らず、最近は本当にどの業界でも。
先の見えない経済情勢の中。
今まで社員だった人を、形だけ外注にしたり。
社内でさばいていた業務を、実質一人事業所の下請けに出したり。
こういったことはどうしても増えると思います。
思わぬ形で税制に引っかかってしまわないよう。
気を付けたいものです。
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