先月、日経新聞の紙面広告で。
税理士業界と公認会計士業界がバトルを繰り広げていることが話題になりました。
「公認会計士・弁護士には自動的に税理士資格が付与される」
この制度がそもそもおかしいのではないか?
会計士さんも税理士業務をやりたいなら試験受けてくださいよ!
という税理士業界が、新聞広告で訴えたことが発端のようです。
税理士「税務能力のない会計士に税理士業務をさせるべきではない!」
新聞広告の内容を見ますと。
タイトルもスケールが大きいですね。
「日本の未来のために税理士法改正を!」
日本の未来がかかっている問題だそうです。
「公認会計士または弁護士に税理士の資格を付与するにあたっては、
税法または会計科目に合格する等の一定の能力担保措置を講ずるべき」
要は、現状、公認会計士さんや弁護士さんには。
試験も受かっていない、つまり
「税理士の能力が担保されていない」のに資格が与えられている。
これはおかしい!と新聞の意見広告で主張したわけです。
会計士「国際標準で会計士は税務をやるのが当たり前だ!」
これに対して会計士協会は、
「主張・論拠には合理性がなく、国民・納税者に誤った認識を与え、
加えて誠意を持って議論をしようとする信頼関係を損ねる」
と日本税理士会連合会に抗議しました。
要は、「能力が無いとは失礼な!あるわ!」ということですよね。そして、
「監査・会計・税務は一体不可分であり、
公認会計士はそれらすべての専門家であることが『国際標準』です」
と反論する意見広告を新聞に出しました。
紙面上でバトルとなったわけです。
確かに、欧米でのほとんどの国には「税理士」という資格はありません。
では税理士の仕事は誰がやっているのか。
会計士さんや弁護士さんがしているそうです。
(例外的にドイツには税理士制度があります。
勤勉で几帳面なお国柄、というのが共通点でしょうか。
確かに「税法」って細かいですよね。)
なので日本でも「会計士が税理士業務をやって何が悪い!」と主張されたわけですね。
落としどころ「試験まではいいですのでせめて研修は受けてください」
どうなるのかな、と思ってニュースをチェックしていたところ。
先日税理士会と会計士会で「確認書」に合意がされたようです。
1)現行税理士法3条1項及び2項とは別に、
公認会計士は公認会計士法16条に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち
財務省令で定める税法に関する研修を受講する旨の規定を設ける。
2)実務補習団体等が実施する税法に関する研修を国税審議会が指定して、
試験科目の合格者と同程度の学習を習得する研修とする。
3)改正される税理士法の施行は3年後とし、
施行後の公認会計士試験合格者から適用する。
税理士法3条に関して更なる見直しを求めない。
最後の、「更なる見直しを求めない」が気持ちがこもっていますね。
「二度とごちゃごちゃ言うなよ!」という雰囲気です。
結果的に、「試験までは受けなくていいけど研修くらいは受けてくださいね」
というところで落ち着いたようです。
そもそも「試験合格組」税理士は少数派です。
最初に新聞広告が出た際。
私の支部でも話題になっていました。
「ずいぶん思い切った書き方で広告を打たれましたね。」
「税理士試験を受けずに資格が取れるのはおかしい、って書いてるけど。」
「試験受かってない=能力が担保されてない、みたいな書き方だけど。」
「でも税務署OBの先生たちも試験受けてないよね…」
実は、日本税理士会発行の「税理士界」によりますと。
平成25年3月31日時点での税理士登録者73,725名の内訳は下記のようです。
・国家試験合格者 33,814名 45.86%
・試験免除者 22,244名 31.53%
・税務署等出身特別試験合格者 8,035名 10.9%
・公認会計士 8,063名 10.94%
・弁護士 491名 0.66%
・その他 78名 0.11%
そもそも難関国家試験「税理士試験」に受かって税理士になっている人。
半数以下なのですよね。
「試験に受かってない=能力が無い」という話になってしまったら。
そもそもここからおかしいのではないかという話になりそうなので。
今回の会計士協会との話も、
「税務署OB先生たちと同じくらいの研修で収まるんじゃないかな」
と支部の皆さんおっしゃってました。
そんなところに落ち着いたようですね。
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