おはようございます。北九州近郊(遠賀郡岡垣町)の税理士、岩永です。
寒くなってくると、確定申告期が近づいているのを感じて。
いろいろな意味で身震いしたり寒くなったりします。
これから数日、起業したての方向けに確定申告についての記事を書きます。
記帳指導の指導員や、説明会の講師の仕事をすると必ず聞かれる質問です。
経費の証明は「レシートでは駄目なんですか?領収書を取らなきゃいけないですか?」。
「 税務署の担当者によって違う」などと言っていては解決になりません。
根拠になっている税法の条文を見てみましょう。
経費を証明する書類に書いていなければならないこと
実は、所得税法にはそこまで詳しい条文はありません。
所得税法施行規則63条に
「取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類」
を、申告期限から7年間保管するよう書いてあるだけです。
ですが、消費税法には、やけに詳しく書いてあります。
ベースとなる考え方は共通ですから、これを参考にしてよいと思います。
消費税法第30条9項 書類の記載事項
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額
表現が固いですね。要は、
1.書類の作成者(お店など)の名称 (誰から)
2.年月日 (いつ)
3.内容 (何を)
4.金額 (いくらで)
が書いてある書類、ということですね。
これがしっかり書いてあればレシートでも良いわけです。
では、時々田舎の観光地のお蕎麦屋さんなどで。
かわいらしいレジからジジジジっと出てくる小さな
「2013.11.20 御会計 ¥1000」
のようなレシートはどうでしょうか。
店の名前、内容が書いてないですね。
これでは条件を満たしません。
抜けやすい項目①作成者の名称
そもそも、領収書の保存義務は何のためにあるのでしょうか。
数年後、税務調査の際に「確かにこの金額を経費として使いました」
…と、証明するためにあるわけですよね。
自分で勝手に書けるものは証明になりません。
他人が発行したものだから証明になるわけですよね。
では、その他人が誰かわからなかったら?
と、考えてみると、上のようなお店の名前が入ってないレシート。
外注さんの、住所なし、「田中太郎」としか入っていない、三文判の領収書。
こういったものでは何の証明にもならないことに気付きます。
必ず、作成者の住所氏名が入っていることを確認するようにしましょう。
抜けやすい項目②内容
「年月日」「金額」が抜けているレシートや領収書は無いですよね。
でも「内容」が書いていない領収書は星の数ほどあります。
自分はなぜだかよくわからないのですが。
ホームセンターなどで「領収書下さい。」というと。
レシートには明細が書いてあるのに、領収書には「品代」しか書いてないことがあります。
「品代」って… 全く何だかわからないですよね。
私はクライアントさんにはそのような場合、必ずレシートと2枚重ねて。
ホッチキスで止めておいて頂くようにしています。
でももし、レシートもなく、何代かさっぱりわからない領収書をもらってしまった場合。
仕方がないので、ボールペンで余白に書いておきましょう。
何年も前の「品代」の領収書の中身、覚えているわけがありません。
結論:記載事項が書いてあればレシートでもOK!
このように考えてみますと。
「領収書」と名前のつく書類。
たいてい上の4つの項目がきちんと書いてあります。
レシートだと書いていないケースがあります。
でも、レシートでも書いてあるものもありますよね。
かえってレシートの方が内容をきちんと書いてあるケースすらあります。
「レシートか領収書か」ではなく。
「誰から、いつ、何を、いくらで、が書いてあるかいないか」で。
証明書として使えるものかどうか、判断されてはいかがでしょうか。
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