前回の記事「小規模企業共済が有利な理由」の続きです。
今回は、実際どれくらい有利なのか?
頭の中で考えるより、数字が一番正直です。
モデルケースで試算してみたいと思います。
※前提条件
・40歳自営業、60歳で引退するまで20年間貯蓄
・貯蓄額は年額84万
・年間所得600万円、所得控除150万円
1.定期預金で毎年84万円積み立てた場合
利回り 0.7%と仮定
(新生銀行 パワードワンプラスを参考にしました)
税引後利回り 0.7%-(0.7%×20%)=0.56%
20年積立後の満期受取額
元本1680万
利息累計約102万
受取額1782万
20年で複利計算をかけると思ったよりも膨らみますね。
積み立てた元本+約100万円を受け取れました。
2.投資信託で毎年84万円投資した場合
運用が順調で年平均2%の利回りが出たと仮定
税引後利回り 2%-(2%×20%)=1.6%
20年投資後解約時の受取額
投資額1680万
運用益累計約313万
受取額1993万
こちらも20年で複利計算するとある程度膨らみますね。
もっとも、元本保証はありませんから。
下手をすれば元本割れすることもあります。
運用益に対する税率もコロコロ変わりますが、一応20%で計算してみました。
3.個人年金保険で毎年84万円掛けた場合
アフラック個人年金を参考にしました。
(60歳払済 60歳年金開始 5年確定年金)
各年の生命保険料控除額→4万円
4万円×税率30%=1.2万円(各年の租税軽減額)
20年後個人年金の受取額(5年分割)
投資額1680万円
①受取額約1715万
②各年の租税軽減額累計 1.2万円×20年=24万円
①+②=1739万円
保険それ自体の利回りはほとんどないレベルなのですが。
生命保険料控除の分、少し優遇が効きますね。
厳密には最終の受取時に利回り部分が雑所得で課税されるとか、
毎年の租税軽減額は定期預金で運用すればもう少し増えるとか、
細かい点はあるのですが金額寡少の為省略します。
4.小規模企業共済を毎年84万円掛けた場合
各年の小規模企業共済掛金等控除額→84万円
84万円×税率30%=25.2万円(各年の租税軽減額)
(1)20年後解約受取額
①積立額1680万円、利回り1%→20年後 約1868万円
②退職所得課税の税金
(1868万円-40万円×20年)×1/2=534万円(課税所得)
534万円×(所得税・住民税率)=約117万円
③①-②=1751万円
(2)毎年の租税軽減額累計
25.2万円×20年=504万円
(1)+(2)=2255万円!
1680万円用意していただけの老後資金が500万円以上も増えました。
率にして3割増しですね。
しかも元本保証・利回り保証です。
(税制が大幅に変わらない限り、という条件付きですが…)
結論:現行の精度なら加入しない選択肢はない
・掛けた時に全額所得控除になること。
・受取時にかかる税金が退職所得扱いで非常に少ないこと。
このまさに超「優遇政策」によって。
とんでもない利回りが生まれるわけです。
中途半端に高利回りをうたう怪しげな投資商品よりも。
国が保証付きで勧めている商品の方が利回りがいいなんて不思議ですね。
もちろん資金繰りがいつもギリギリなのに。
たまにちょっと黒字になると「なんとか税金を減らさなきゃ!」というような。
安易な経営感覚で利用するものではないと思いますが。
どのみち余剰資金があり、老後資金の積立等を考えていらっしゃるのであれば。
他の投資商品を利用するよりは圧倒的に有利です。
優遇しすぎじゃないか、と思われるかもしれませんが。
前回の記事で書いたように、国も理由があってこんな優遇政策をしています。
せっかくしてくれているのですから。
利用できるものは賢く利用していきたいものです。
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