利益は大きく、税金は少なくできる制度 「税額控除」

中小企業・事業主の【節税】

経営者様の決算書についての共通の悩みです。

銀行に見せるときには利益を大きくしたい。

(融資が受けやすくなりますから。)

税務署に見せるときには利益を小さくしたい。

(税金が少なくなりますから。)

そんなわがままがある程度、認められる制度があります。


Bank of China Tower, Cheung Kong Center via Citibank Plaza / Ed Coyle Photography

 

決算書の利益と税金の金額はかならずしも比例しません

銀行に見せるいわゆる「決算書」の数字。

税務署に税金を申告する「申告書」の数字。

これらは近いようでいて微妙に違います。

なぜなら、

「決算では経費だけど、税務署は経費と認めてくれないもの」

「決算では収益だけど、税務署は収益でなくていいよと言ってくれるもの」

があるからです。

前者の代表は「交際費の一部」や「役員賞与」、

後者の代表は「受取配当の一部」などです。

前者が多ければ、決算書上の利益は少なく、税金は多くなります。

嫌ですよね。

後者が多ければ、決算書上の利益は多くても、税金は少なくてすみます。

でもこちらは、前者と比べると種類も金額も大抵は少ないです。

 

利益を減らさずに税金が減らせるとすると?

さて、税金は「利益×税率」で計算されます。

利益が減ると「利益×税率」分だけ税金が減るわけですよね。

仮に税率を25%とすると、100万円利益が減れば25万円税金が減るわけです。

逆に言えば、もし25万円税金を減らせる制度があれば、100万円利益を減らしたのと同じ節税効果ですよね。

「利益を減らすのではなく、直接税額を減らしてくれる」そんな夢のような制度があります。

 

租税特別措置法の税額控除制度

国が政策として企業に何かをしてほしいとき。

かけ声だけかけてもあまり人は動きません。

ですので、「これをしてくれたら税金、減らしますよ!」というおまけをつけます。

平成25年9月現在、措置法にはそんな規定がこれだけあります。

 

・試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除 第42条の4

・エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 第42条の5

・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 第42条の6

・沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 第42条の9

・国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 第42条の11

・雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除 第42条の12

・国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は法人税額の特別控除 第42条の12の2

・特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 第42条の12の3

・雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 第42条の12の4

 

タイトルを見ただけだと、あまりよくわからないですね。

例えば1番目の「試験研究を行った場合の…」は、ざっくり言いますと、

「新商品開発の為にどうぞ費用を使って下さい。

その費用の10%前後(ここ、計算が複雑です)、税金減らしますよ。」

という制度です。

 

「雇用者」とついている制度2つは最近できました。

失業者が増えているので、国としては

「どんどん人を雇って下さい。

人件費が増えた分の何割か、税金減らしますよ。」

という制度で、雇用を促進したいが為にできたわけです。

 

他の制度の大半は、

「こんな機械買いませんか。今、国としてはお勧めなんですよ。

買ったらその7%前後、法人税減らしますよ。」

という制度です。

この対象となる機械や備品が毎年のように変わっていきます。

 

税額控除の効果

例えば、税引前当期純利益800万の中小企業があるとします。

法人税が15%で120万です。

この制度の対象になる300万の機械を購入していたとします。

300万×7%=21万円、税額控除を受けられます。

法人税が 120万-21万=99万円に減りました。

 

通常ならば99万円の法人税は660万円の利益に対する法人税です。

この制度で、140万円利益を圧縮したのと同じ節税効果が得られたわけです。

しかも、決算書の利益は800万円のままです。

まさに、利益は大きく、税金は少なくできたわけです。

 

使いやすい制度はどれか?

上に、たくさんの規定を書きましたが、

・中小企業が使うには金額の条件が大きくて使いづらいもの

・特定の地域でないと使えないもの

もあります。

特に使いやすいと私が感じた制度について、以前の記事に書いています。

・雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除

・特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除

・雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除

どうぞご参考になさって下さい。

 

措置法の規定は対象となるものの要件や、対象となる期間がそれぞれ違っています。

調べるだけでも少し大変です。

実際に利用される際は、是非、専門家にご相談なさって下さい。

 

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