宮大工さんにとってのカンナやノコ、料理人さんにとっての包丁…
税理士にとってのパソコンはそんな存在です。
可能な限り自分で手入れできるようにしたいものです。
税理士の初期投資と言えばパソコン・ソフト
税理士は飲食店や美容室のように凝った内装工事が必要な業種ではありません。
初期投資はかなり安くても済みます。
多くの開業したての事務所で投資のうちかなりの比重を占めるのが
「税務・会計ソフト」です。
税理士業界は高齢化の激しい業界です。
税理士先生の中には全くパソコンに触れない方も少なくありません。
そんな税理士先生方がどうやって事務所を運営しているのでしょうか?
税理士事務所向けのソフトメーカーさんは本当に気が利きます。
何でもしてくれます。
パソコンやプリンタの購入、接続、ソフトのインストール、更新、セキュリティ対策…
職員への操作方法の指導はおろか、全国規模のT社さんに至っては、
クラウド型のデータ分類・保管もしてくれますし。
ガチガチの業務マニュアルを整備して。
その通りにしていなければエラーが出て先に進めない仕組みまで提供してくれます。
これなら税務知識0の職員をずらっと並べてパソコンをたたかせていても。
まあ、そこそこの品質のものが出てきそうです。
もはやこれなら税理士はいらないのではないかと思うレベルです。
それくらいしてくれますから、当然価格は高くなります。
ほとんど税理士の代わりをしてもらっているのですから無理はありません。
ソフトメーカーの料金に含まれているもの
私が税理士登録したての時も、次々にダイレクトメールが届きました。
税務専業のソフトメーカーさんは、たいていソフトだけでなく。
本体まで含めてリースで提案をなさいます。
比較的リーズナブルなところでは「月々15000円から」などと。
開業したての税理士でも無理のない価格で提案を下さいます。
でも5年リースですよ。
60回で90万円のお買い物です。
私が欲しいのは税務申告書が書けてE-tax送信できるソフトと、会計ソフトだけなのです。
たとえば会計ソフトを「弥生会計」、税務申告を「達人」でした場合、
毎年ソフトをきちんと更新しても年間10万円前後です。
それに、会計ソフトは毎年更新しなくて良い場合もあります。
ソフトメーカーさんの提案には、ほとんどパソコンを触れない先生のための
パソコンの選定・購入・設定・導入、等々の費用が含まれてしまっています。
もしITスキルが限りなく低い状態で開業した場合。
これらの先生に提供されるのと同じものを購入しなければなりません。
自分で手入れができるメリット
逆に自分で
・十分なスペックのパソコンを選んで購入でき、
・データの引越し、ソフトの引越し
・データの階層とフォルダの管理
・セキュリティ、インターネット接続をはじめとする初期設定
・無線LANを使ったパソコン・プリンター・スマホ等の接続・共有
・メモリ増設、SSD換装等の簡単なメンテナンス
・ホームページの制作・更新
等が問題なくできれば、単品でその都度必要なハード・ソフトを購入するだけで済みます。
また、自分で設定していますので、不具合が出た場合にも自分でかなりの程度対応できます。
私の以前勤めていた事務所は、所長先生は非常に仕事のできる方でした。
でもPCは全くダメだったため。
なにかちょっとしたことがあるたびにソフトメーカーの営業さんを呼んでいました。
設定から何から全部彼らにしてもらっていますから、彼らがいないと誰もわからないのです。
よくこんなに頻繁に来てくれるな… と思っていましたが。
来てくれるとはいえそれまで業務が止まります。
そして、彼らが頻繁に来てくれる日当は、リース料金に含まれています。
冒頭で書いたように、税理士にとってのパソコンは
宮大工さんにとってのカンナやノコ、料理人さんにとっての包丁のようなものです。
可能な限り自分で手入れできるようにしたいものです。
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