起業でよくある失敗…先行投資が大きすぎるケース

税理士による経営のヒント

先日、ホリエモンこと堀江貴文さんのブログを拝見しました。以下抜粋です。

「この時代自分で事業を興すのが一番安全で確実だ。…

でも、業種は選ばないといけないけどね。


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簡単にいうと、

・利益率の高い商売

・在庫をできるだけ持たない商売

・月極めで定額の収入が入る商売

・大資本の要らない商売

の全部を兼ね備えている商売がお勧めだ。」

 

私も同感です。

この福岡・北九州地区で開業して4年目ですが、実は今までにすでに数件。

起業したもののすぐに行き詰まってしまった方々とお会いしました。

「行き詰まった」というと簡単に聞こえます。

でも皆さん、夢破れた上、多額の借金だけは残りました。

事業の借金は本当にあっという間に。

普通に働いたのでは、今後そうそう返せない金額まで膨らみます。

 

なぜ開業したてでそんな借金を背負ってしまうのでしょうか。

私のつたない観察では次のように感じます。

 

1.そもそも「開業資金が多額に必要な業種」を選んで勝負してしまう

個人で1000万の借金!

私は小心者なので、世の中に「絶対」がないことはわかっていても。

それでも「絶対」に返せる保証がないと、とても借りる勇気がありません。

 

ですが、飲食店・美容室・アパレル小売などの業種で起業される方々。

皆さん悠然と政策公庫さんなどで借りておられます。

これらの「オシャレな店舗」を必要とする業種はどうしても初期投資がかかります。

店舗の敷金・礼金、改装費、保証金、在庫、初期広告費…

あっという間にすごい金額になります。

 

その上、これらの業種は、ある意味参入が容易です。

別段取得が難しい資格も要りません。

イメージが華やかだからでしょうか、この分野を志す人も多いです。

簡単に開業できるイメージがあるからでしょうか。

芸能人までがサイドビジネスで参入したりします。

 

「競争が激しい」「リスクの大きい多額の借金を必要とする」この分野。

なぜこの分野に無理に突入する人が多いのでしょうか。

「当たれば大きい」と皆様言われますが。

「当たらずに借金だけが残る」人の方が、はるかに多いのではないでしょうか。

 

とある福岡の美容業界の社長様がおっしゃっていました。

「腕の良いスタイリストには、出入りの業者やコンサルタントを名乗る人物が、

『もうそろそろ独立じゃないですか』

…と声をかけてその気にさせるようです。

彼らはそのスタイリストに独立さえしてもらって、

改装工事と初期在庫さえ買ってもらえれば、

あとはどうなろうと知ったことありません。

その気にさせられて次々開業するのですっかり飽和状態です…」

 

当然、皆様がそうというわけではありません。

中にはきちんとした勝算があって起業される方もおられるでしょう。

でも、このように「周りにのせられて」「なんとなく」「できそうだから」で。

安易に起業される大勢の方々と、熾烈な価格競争をしなければならなくなります。

 

もともと、開業資金をそれほど必要としない業種で。

勝負をかけることをお考えにならないのはなぜでしょう。

 

2.最初から「経営者」気分に浸ってしまう

起業当初から多額の借金を背負われる方々。

背負う理由は二つしかありません。

「開業資金」「固定費」(「人件費」「家賃」)です。

 

私には理解できないのですが、起業した途端、特に法人を設立された途端。

すっかり「社長」気分になってしまう方がおられます。

人を雇うこと、税理士もそうですがコンサルタントを雇うこと、こればかり考えられます。

・営業が滞っている→よし、営業担当を入れよう!

・経理が面倒くさい→よし、経理担当を入れよう!

・現場が面倒くさい→よし、現場担当を入れよう!

 

…ご自身は何をなさるおつもりなのでしょうか。

成功しておられる中小企業の経営者様は。

私のつたない観察では、会社の誰よりもよく働かれます。

大企業のように優秀な人材を高給で雇うことが難しい中小企業。

たいてい一番優秀なのは社長様です。

その人が動かずに、利益が上がるわけがありません。

 

また、最初から非常に立派なオフィスを構えられます。

「信用」が大事だから。とおっしゃいます。

本当にその「オフィスの信用」で取れる契約があるのでしょうか。

売上に貢献する「信用」なのか、単なる「見栄」なのか。

売上に連動しない。

売上0でも発生する経費には特に慎重になるべきだと思います。

 

 

保守的すぎるかもしれません。

でも、高度経済成長右肩上がり経済。

誰が起業してもある程度の売上が見込める時代は終わっています。

起業しても売上が上がる保証がない以上。

・とにかく初期投資の少ない業種で勝負する。

・十分な売上が立つまで極力人件費(固定費)は掛けない。

ことが正解ではないかと思っています。

 

 

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