ここのところ【マイナンバー】の記事を続けて書いています。
クライアント様のところをこの対応で延々回っていますので、内容が偏ることをご容赦ください。
前回の記事では、マイナンバー無しの書類で怪しまれて税務調査に入られるリスクについて書きました。
今回は、【マイナンバー無しで怪しまれるくらいならいっそのこと書類を作成しない】場合の。
リスクについて取り上げます。
源泉徴収票-【事業主】のマイナンバーも記入!
決して、国税庁が「今後はこのように調査します」などと公表しているわけではありません。
あくまで税務行政に関わっている一人の若手税理士の予想に過ぎないのですが。
マイナンバー制度導入後の「源泉徴収票」の様式、思い出してみてください。
従業員と扶養家族の名前の横に、それぞれのマイナンバーを記入する欄がありますよね。
こちらの記入が必要なことは各メディアでよく取り上げられています。
そして、この情報を基に。
副業している従業員の収入がばれて確定申告漏れが見つかるとか。
副業して収入が103万円を越えている奥さんの扶養控除がばれるとか。
いろいろ言われている一方で、あまり注目されていないのが。
一番下!
【支払者】のマイナンバーも記入するのですよね。
これをどんな風に税務署は利用するのでしょうか。
提出していない給与支払報告書が【ばれる】?
私が税務署員だったらどうするかな、と考えたのですが。
例えば個人事業主。
H29年3月の申告から、全ての事業主の確定申告書にもマイナンバーが付番されますよね。
自分の管轄範囲の個人事業主の確定申告書のナンバーと。
青色申告決算書の「給与手当」の項目を抜き出してリストにします。
OCR読み取りでデータベースがあるはずですので、これは1分でできるはずです。
そして市町村に提出される給与支払報告書のデータベースから。
この個人事業主が「支払者」となってマイナンバーを記入して。
提出している給与支払報告書のデータを持ってきます。
合計を出します。
合計を先程のリストの横に持って来てこんな表にしてみます。
決算書で計上して経費にしている給与の金額が①。
報告を出している、つまり【報告が出せる】給与の金額が②。
ですから、①から②を引けば。
【報告が出せない】、つまり怪しい給与の金額が簡単に出ます。
ここまでの作業、難しいシステムなどなくても。
マイナンバーとひも付きのデータさえあれば。
エクセルの「集計」機能で、パソコン初心者でも簡単にできる作業です。
これで、「①-②の差額」の行の数字が大きい順に「並び替え」したらどうですか。
管轄内の【架空人件費が疑われる事業所ランキング】。
または、【源泉徴収事務がずさんそうな事業所ランキング】。
が簡単に完成します。
リストの上から順に税務調査に入って行くことにすれば。
まず、手ぶらで帰ることなどないのではないでしょうか。
事業主の給与支払額がマイナンバーで「名寄せ」される?
最初に書いているように、あくまで想像に過ぎないのですが。
しかし改めて文章にしてみると、本当に簡単な作業ですよね。
このように。
「従業員」の給与受取額だけではなく。
「事業主」の給与支払額の方も名寄せがされる、という可能性。
かなり高いのではないか、と個人的には思います。
また、個人事業主の場合には決算期が1月から12月で。
給与支払報告書の集計期間とほぼ一致していますのでイメージしやすいですが。
決算期が12月ではない法人も。
100%給与支払報告書を提出している状態なら。
数期間の決算書を横に並べて給与の合計を出して比較すれば。
給与支払報告書の合計額も近い水準の数値になるはずですので。
法人についてもこの方法はある程度有効かと思われます。
考えすぎかもしれませんが。
このような形での税務調査先選定が今後行われる可能性を考えますと。
やはりこのマイナンバー対応。
遅れずに、きちんとマイナンバー入りの給与支払報告書をH29年1月に。
スタッフ全員分、提出できるように準備していきたいものです。
コメント