前回の記事で書いたように。
ですがこれで「マンション消費税還付」を封じ込めたわけではなかったようです。
意図的に選んだわけでない年の設備投資なら還付OK?
H22年改正では。
「意図的に消費税課税事業者を選んで、設備投資をする場合」に網をかけるために。
「消費税課税事業者選択届を出して効力が発生した期から2年間の間に」
調整対象固定資産を購入したら、「3年間消費税本則課税縛り」にしますよ、
という規定を作ったわけです。
そして、1000万円以上の資本金の法人を設立しますと。
「消費税課税事業者選択届」を出さなくても。
瞬間的に課税事業者になるハコを作れるわけですから。
この場合にも同様に「3年間消費税本則課税縛り」としたわけです。
しかし、これでも漏れている抜け穴があります。
それは、「あらかじめ課税事業者になっている休眠法人」です。
休眠法人を利用したマンション消費税還付スキーム
今では法人など資本金1円で簡単に設立できますので。
あらかじめ大量の法人を設立して、持っておきます。
1年目に全て「課税事業者」を選択します。
もっとも、売上は0ですので納税額も0です。
2年目、3年目もそのままです。
この「課税事業者を選択しているけど売上0の法人」で。
マンションを建てたらどうでしょうか。
建てた年、消費税の申告は当然必要です。当然還付です。
そして。
課税事業者を選択して2年間の間に設備投資をしたわけではありませんので。
翌年、何事もなかったように免税事業者に戻れます。
住居家賃収入だけなら課税売上はありませんので。
その後永遠に消費税の申告は必要ありません。
投資用マンションの建設・販売を手掛けている業者の中には。
実際このような法人を大量に準備しておいて。
マンションを建てようかな…という不動産オーナーに。
「消費税還付を受けられる法人もプレゼントしますので是非!」
という営業トークの一環として使っているところもあったそうです。
もっとも、これは「脱税」ではありません。
法に大きな穴が開いており、それを利用すればクライアントに利益がもたらされる以上。
法的に問題ない範囲で利用されてしまうのは仕方のないところです。
今後は、高額の投資をした場合問答無用で本則3年縛り
完全にイタチごっこの感がある、この「消費税納税義務」利用スキーム。
今年の改正では。
前提条件も何もなし、とにかく高額の投資をしたら本則3年縛り!
という、若干乱暴にも思える改正で、ひとまずイタチごっこが終了したように思います。
Ⅳ 高額特定資産を取得した場合の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し
棚卸資産まで含めて。
つまり販売用マンションさえ含めて。
1000万円以上の買い物(高額特定資産と呼ぶそうです)をした場合。
その期が課税事業者何年目だろうと届出が出ていようといまいと。
問答無用で3年間本則縛りです!という改正です。
このパンフレット、H28年4月時点で作成されていますので。
消費税10%とか、軽減税率8%の上の方の内容は延期となっていますが。
それに隠れるように下の方に書いてあるこちらの改正は。
H28.4.1からすでにスタートしています。
不動産オーナーの皆さま、これから始めようかな、と思っておられる方。
「還付を受けられる法人」なるものを営業マンから勧められましたらご注意を。
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