前回までの記事では試験について考えました。
今回の記事では、並行して実務経験を積むことについて考えたいと思います。
独立開業を考えていない職員であれば「嫌な仕事」でも。
独立開業を目指す税理士志望者にとっては「成長の糧」です。
最低でも実務経験を積む中で.
これだけは身に着けておいた方が良いな、と自分が感じた点をまとめました。
1年間の日常業務の流れをつかむ
税理士事務所には1年間の通常業務のサイクルがあります。
毎月の巡回監査や記帳代行、給与計算などに加え。
年末には年末調整、年明けに償却資産税の申告と法定調書の提出。
その後個人のクライアント様の確定申告、法人決算…
そばにいる先輩がタダで教えてくれるのは独立する前だけです。
全て滞りなく、次は何をしなければならないか。
今どんな準備をしておけば後々業務をスムーズに流せるか。
体が自然と動くくらいに、勤務している間に身に着けてしまいたいものです。
社長様とのコミュニケーション能力を磨く
話しやすく訪問するのが楽しい社長様、逆に訪問前になると胃が痛くなる社長様…
いろいろなタイプのクライアント様がおられます。
独立開業すると、「自分でクライアント様を選べる」ことは事実です。
でも最初のうちは選ぶ余裕などありません。
勤務時代の外回りは、どんな社長様とでも話ができ、信頼を得られるようになる訓練です。
新規クライアント様との折衝・会計の立ち上げを経験する
古くからのお付き合いのクライアント様ばかりで新規が滅多にない事務所に勤務した場合。
この経験を積むことが難しくなります。
しかし独立開業すれば、以前の事務所からクライアントさんを分けていただかない限り。
全てのクライアント様が「新規クライアント様」です。
これをしたことがないと、最初は非常に大変です。
報酬の相場を知り、見積り・提案を経験する
独立開業して、自分で初めて報酬を提示し、請求書を出したとき。
なんとも不思議な気分でした。
相場からして決して高くはなかったのですが。
でも「自分が本当にこの金額を請求して良いのだろうか」と正直自信がなかったのです。
それでも何とか行えたのは。
それまでに複数の事務所で請求事務も経験していましたし。
他の税理士さんから移ってこられたクライアント様の。
以前の税理士さんへの報酬等もよく見ていましたし。
相場をつかんでいたからです。
今でこそ激安をうたって記帳代行をなさっている業者さんも多いですが。
税理士報酬は、世間一般の感覚からしても決して安くはないと思います。
自信を持って請求できるようにするためには、勤務時代に相場を知って。
見積り・提案まで経験しておきたいものです。
事務所管理のノウハウ
職員さんを多数抱えている事務所では。
所長が全てチェックすることが次第に難しくなります。
その中で、各クライアント様の状況がどうなっているか把握できるよう。
また万が一担当者が急に退職した場合でも業務が滞りなく回るよう。
きちんとした事務所では資料の保管や報告書の作成について厳しいルールがあります。
独立開業を考えていない職員さんにとっては単に「面倒くさい書類」です。
でも独立開業を目指す税理士志望者にとっては「事務所管理のノウハウ」です。
私の2ヶ所目に勤務した事務所はまさにこのお手本のような「きちんとした」事務所でした。
現在の業務にも非常に役立っています。
たまに、以前の担当者が退職したので。
「何がどこにあるかもさっぱりわからないし決算も組みようがない」
というお粗末な事務所もあるようですが…
今回は税理士として独立開業するための必須のスキルについて書いてみました。
次回は、できれば身に着けておくとかなり助かるスキルについても書いてみようと思います。
コメント