一般に、「マニアックなモノ」「高級なモノ」。
市場、ユーザーが当然限定されます。ですので。
その専門業者は扱いますが、大衆向け業者は扱うのに二の足を踏みます。
でも、これを扱うことで全体の売上をけん引することができるケースもあります。
NSX – Laguna Seca / BrownGuacamole
ホンダNSX-手作業受注生産の超高級車
NSX。言わずと知れた世界に通用するHONDAの顔というべきスポーツカーです。
Wikipediaによりますと、発表されたのはバブル景気絶頂期の1989年。
翌1990年9月14日から2006年まで15年以上にわたって販売されました。
価格は販売当初は800万円!
その後、改良や装備の追加などで徐々に値上がりし、900万-1,300万円台!
スポーツカーの新車価格では日本車最高額だったそうです。
さて。
HONDAは果たしてこのNSXの売上で大儲けできたのでしょうか?
自分はNSXの原価計算を行ったことはありませんのであくまでも想像ですが。
市販車としては類を見ない「オールアルミモノコック・ボディー」の採用。
ほとんどを手作業による受注生産。
V6 DOHC VTEC NA 3.0Lのエンジン。
販売価格が高いとはいえ、原価もそこそこかかりそうではあります。
そして何よりも開発費。
フェラーリやポルシェなどの高級スポーツカーをライバルとして開発したため。
当時個体性能差が大きかったフェラーリ328を、なんと。
データ取りのためだけに何台も購入したと言われています。
しかも走行テストは、サーキットに程近いミューレンバッハ村にテスト基地を建設。
8か月(冬季は封鎖)にわたり走行テストを繰り返すという姿勢で開発に臨みました。
…開発費、どれくらいかかったのでしょうか。
この開発費、販売台数が多ければその粗利の中から回収できます。
しかし、販売からほどなくしてバブルが崩壊したこともあり。
日本では販売から5年で約6000台を販売したものの。
その後の10年間では合計わずか1000台程の販売にとどまったそうです。
HONDAはもしかしたらこのNSXの。
「売上-原価-販売費-開発費」の算式では、さほど儲けていないかもしれません。
ですが、このNSXを開発した意味は確かにありました。
売れないトップクラスがあるからこそ売れるミドルクラス
インテグラ、プレリュード、アコード、シビックタイブR…
自分の中学生くらいの頃に、少し年上のお兄ちゃんたちが乗っていた車。
今でも憧れですね。
そのお兄ちゃんたちはなぜその車に乗っていたのでしょうか。
【NSXを開発しているHONDAの車だから】ですよね。
【NSXにも搭載されているVTECエンジンだから】ですよね。
とてもNSXは買えませんが、トップクラス商品NSXへの憧れが。
インテグラ、アコードなどのミドルクラス商品の販売をけん引するわけです。
売れ筋よりも少し高い価格帯のラインナップを用意する意味
では自社の商品のラインナップを見てみてください。
売れ筋の価格帯の商品やサービス。
当然ここを充実させなければビジネスにならないわけですが。
でもそのもう少しハイエンドの商品やサービスを扱えないでしょうか。
それを無理に売ろうとしなくていいんです。
NSX自体は売れなくても、NSXがあることで売れる他の車がありました。
そのハイエンド商品を扱っている、ということが。
自社のイメージ、ブランド、安心感につながるのなら。
それ自体は売れなくても。
他の商品の売上をけん引してくれるかもしれません。
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